すれ違うアムステルダム

アムステルダムで日本人とイタリア人がフラットシェアをする日常。

K氏、家来になる話について

冷蔵庫を開けるのがK氏の癖である。開けるたびに

「お腹が空きましたか?」

「いや、特別用事はない」

の繰り返し。ふらりと冷蔵庫の前に立ち寄っては、ぱたっ、と開け、一瞥して閉じる。その繰り返し。あまりに私がお腹が空いているのかを心配するので、ある時から「腹が減ってるわけじゃないんやで」とことわりを添えてくださるようになった。

なんで人は冷蔵庫を開けるのか。ふと思い立ち、Google先生に聞いてみたところ「人はなぜ冷蔵庫を開けるのか?」というまさに知りたかった情報があった。

それは中に目的としたものがあるか、または以前冷蔵庫を開けた時、食べ物にありついた、という経験が開けさせているのです。

つまり人は、「冷蔵庫を開けよう」と思って開ける事はほとんどなく、そんな事考えることなく開けているのです。 


ふむ。よし開けるよ、という気合もなく、「そこに冷蔵庫があるから」ということに他ならないとのこと。登山家でさえ「そこに山があるから」って言うもんな。お菓子があったら食べるもんな。冷蔵庫、うちにあるもんな。なにか過去にK氏の好きな食べ物にありついたことがあるらしい。

人が冷蔵庫を開ける行動をする時大事なことは、以前冷蔵庫の中に食べ物や飲み物があってそれらによって自分にとって良いことが起こった (つまり空腹が満たされたなど) 、という事が大事なのであって、その経験からの学習が、「冷蔵庫を開ける」という行動の基本だと言う事がわかります。


自分にとって良いことが起こった際、「冷蔵庫をいつまでも開けたくなる」(しかも無意識に)ということ。人間は食欲に支配されるということである。冷蔵庫、あらためて怖い。人は意識と関係がなく冷蔵庫をいつのまにか開けるようになるのだ。冷蔵庫を開ける癖のあるあなた。ただそこにある冷蔵庫に、もしかすると支配されているかもしれません。



私とK氏は食費を100ユーロずつシェアしているが、食費に入らないものは各自自分のお財布から出している。お酒とか、各自のおやつなど。(ゲスト用や二人の意見が合致したプロダクトを除く)

ある日私がドラッグストアで見かけたM&Mチョコレートはいつのまにか一緒にレジに潜り込んでいたので、しかたなく私のコレクションとして冷蔵庫で大切に保管していた。ちょびちょび食べるのが好きなのだ。普段€3くらいするやつが、€2。スーパーの特売では2つで€4.6などだから、とてもお手頃。そして誘惑に、負ける。

「これはわたくしのお財布からです。ご希望があれば、おすそ分けしますよ」と一言お伝えして、冷蔵庫へ忍ばせた。


ある日のK氏は唇の色が悪かった。半分だけ青い。殴られたか、自転車で転んだか。何かの角にぶつけたか。「大丈夫ですか」とお尋ねすると、「何が?」とのお返事。特段風邪を引いたわけでもなく、痛くも無く痒くもないそうだ。ならよかった、けど。

f:id:aoreamsterdam:20170701223205j:plain

愛用グラインダーはハリオ。


最近家バリスタのK氏。コーヒーが好きで、よく豆を挽くところからサーブしてくれる。私がPCに向かっているとき、「コーヒーはいかがでしょうか」とのことだったので遠慮なくいただくことに。ごきげん。

「さあ、淹れたてですよっ」と私のPCの脇に置いてくれた途端、K氏からふわりと良い香りが。甘く、とろけるような...まるd...はっ、

 

...さてはチョコレートの匂い...!!

 

f:id:aoreamsterdam:20170701211459j:plain


唇の青はM&Mの色素だった。青い粒、食べたわね。わたくしの楽しみを、推測するに冷蔵庫を開けるたびにちょびちょび食べていたK氏。「食べものにありついた記憶」はM&Mから引き起こされ、それがK氏を支配していた。しかしありついて、それを食べるかどうかはK氏の起こした行動である。ちょっとそこにお座りなさい。

「M&Mの袋をお見せくださいませ」

K氏は平伏するように、M&Mを冷蔵庫から出した。

f:id:aoreamsterdam:20170701223804j:plain

ちっ ばれたか


「いつのまに」

「一緒に食べたではありませんか (私にもサーブしたよ、と言いたい)」

「昨日買ったばかりですが (なのになんでこんなに少ないの、と言いたい)」

「美味しいから仕方がない (意思に反してチョコレートが俺に食べさせた、と言いたい)」

と最後は半ば開き直り、お許しくださいませ、と云う。もう一度言うが、私はちょびちょびと食べるのが好きである。なんなら存在を半分ほど忘れて、開けた時にあるのが喜び。料理をしながら、仕事の休憩中に、夜にふと甘いものが欲しい時。ひとつぶひとつぶコーティングされているM&Mは、ちょうど良い存在になる、はずだったのだ。

それがK氏によると、買ったものは食べるために買ったもの。冷蔵庫の中身がパンパンになるのだから、美味しいうちにさっさと食べてしまいましょう、ということ。
たしかに、もったいぶっているうちに旬を過ぎてしまったものも数回ある。でも、でも。ワタシノダ。

「では。残りのM&Mも食べて良い代わりに、家来になる気はありますか。私の食欲を満たすためにうどんを一緒に打ってくれるのであれば許しましょう。」

「ん...」

かおりさん かおりさん
お腰につけた M&M ひとつわたしにくださいな

 

あげましょう あげましょう
これからうどんを打つために  力を貸すならあげましょう



f:id:aoreamsterdam:20170701224144j:plain

んっ...

そこで平和的解決をすることに決着がついた。(はずであった)



ブログランキング・にほんブログ村へ
オランダ情報

© 2017 aore.amsterdam