すれ違うアムステルダム

アムステルダムで日本人とイタリア人がフラットシェアをする日常。

家が征服されかけた話について

我が家のキッチンは足元が浮いている作りで、かなり雑だ。W=1950,D=590+170(段差がある),H=900の、日本のシステムキッチンよりは少し高くて、少し狭い。細部と言わずに大方全体がかなり粗雑に作られており、背板は無く奥の隙間は暗黒の闇。絶対に覘いてはいけない気配を当初から感じていた。

 

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本格的に入居前の写真。絶対に覘いてはいけない隙間がある。

 

ある日しばらく出張で留守にしていたところ、帰ってきてからK氏は私を歓迎してくださり、一息ついて、それから深刻な表情で言った。

 

「言わなければいけないことがあります」

 

私の頭の中はこうだった。

1. 私の大切にしている食器が割れた

2. 友達にもらった高級チョコレートに手を出した

3. E氏が私のワインを飲んだ

 

まあどれも驚かないし、想定の範囲内である。K氏が一番に怯えるのは1.かもしれない。もしくは頂き物である€20チョコレート様の美貌に耐えきれず2.だったか。でも置いていった私が悪いので仕方がないものはない。
しかしK氏の発言はどれでもなかった。


「私たちの家にNズミが出ました

「...それは」

「まだどこかにいます。昨日の話です」

「すぐに毒餌を買いに行きましょう」


以前ここへ来る前の家でも一度Nズミが外から入ってきたことがあった。結局どこかへいってしまったけれど、日用品店で買ったことがある。冷静に。怯えたってしょうがないのだ。Gキブリよりましだ。飲食店のテナントはあるし、隣の家との間には草むらがあるので何かくるだろうとは思っていた。3階にもかかわらず予想外に獣。幸い小さい。

K氏は奴が出てきたところを激写していた。人間の物音がある時には絶対出てこないので、音楽をかけずに静かに出現を待っていたらノコノコと出てきた、そうだ。かねてからゴミ袋に不審な穴が空いていて、水漏れがしていたのも合致がいった、と。(小さなNズミの写真があります)



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よくもまあ、ノコノコと出てきおって。




E氏にも前日報告をした際、「たぶんカオリはそれを聞いたらしばらく帰ってこないか、引っ越すっていうと思う」と言うと、「それは大変だ!我々は全力を尽くして必ずカオリが発見する前に仕留めなければいけない」と燃えてくれたらしい。そして、「いいか、ケイ、カオリには絶対言ってはだめだ。見つかる前に我々が仕留めるんだ」と。しかも昨日は前妻のJさんもここにいて、「うちのネコを貸してあげようか?」と言ってくれたそう。私にとっては猫を迎えるチャンスだが、K氏は依然と猫はだめだと言い張った。どうやらNズミ用の罠をE氏が持ってきれくれるということになったそうだ。

しかしまもなくE氏の引きこもりデーが訪れたために、おそらく彼はそんなことは記憶の彼方。いきなりキッチンから登場して私が驚かないようにと冷静にK氏は伝えてくれたのだった。



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日用品店、Blokkerにて。この小さな箱がそのまま捕獲ボックスになるための点線が半円形にあって、中に青い「におい玉」のような毒餌がある。アンパンマンよろしく見るからに水分に弱く、すぐにふやけそうでぺらぺらのなんとも頼りない罠である。

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キリトリセン。


とりあえずキッチンの隙間の近くに設置することとする。餌には手持ちのパンに塗る甘いペーストを少々塗り、その周囲に毒餌を巻く。日本でもオシャレ系カフェやカルディによくあるシナモンクッキーのペースト。わたしはこれが大好きである。本来ならば奴らなんかに微塵もわけたくない。けれどこれは罠のため。私たちの家が小ネズミに征服されてはならないのだ。

しかしあたらめてしみじみ眺めるに、毒餌の箱トラップは見るからに頼りないし、奴は一応脳を持っている哺乳類だ。大丈夫か。だけどうまくいけば私たちの救世主、侮ってはいけない。毒餌、いわゆる「殺鼠剤」である。ネズミよりは、事件で名前を聞くことが多いくらいだから、うっかり私たちがひっかかってしまったら大変。キッチンで火曜サスペンスのようにバタリと倒れていないように。

次の朝にちょっとワクワクしながら恐る恐る見ると、箱は少し斜めに傾いていて、毒餌が数粒床に散らばっていた。でも中は空だった。絶対にやってきた。毒餌に気がついて引き返したか、ペーストだけ選別して食べていったか。美味しいもんな。贅沢な奴め。

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私はねえ、これが大好きなんだ。しかもクランキーヴァージョンだ。



「K氏、ちょっと待ってください」

「なんですか」

「あの毒は即死でしょうか、じわじわ効くのでしょうか」

「」

「変なところで死なれても困ります。処理できないところで召されて腐られたらどうしよう。これから夏だし」

「」

 

せめて目に見えるところで見届けられる対策が必要な気がしたため、再び別の罠を買いに行くことに。pinterestなんかではNズミトラップのDIYとかがたくさん出てくるけれど、水死はちょっと遠慮したい。結局確実なのは粘着力か、原始的なものかという選択になった。こんなマンガみたいなやつ...。戦いはContinueという結果に。

 

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